WantedlyやLinkedInにユーザとして登録していると,スカウトをもらうことがある.最近はこれに近いサービスが多くあり,LAPRASやOffersなんかもある.findyは,スカウトというほどはっきりしたものではないが,一応興味通知が来る. サービスを通さなくても,直接メールが来たり,TwitterのDMでスカウトが来たり,いろいろな方法でスカウトが届く.
スカウトと言っても,いきなり「あなたを1000万で雇うからすぐに来てくれ!」みたいなことはなくて,だいたいは「一度お話しましょう」というのが多い. この形のスカウトで一番多いのが「カジュアル面談」を誘うパターンだ.
前職がLAPRASだったこともあり,私も自分でスカウトメールを書いて送ったことはあるし,カジュアル面談をセッティングしたことも何度もある. そういう経験もあり,カジュアル面談の誘いが来たら,全部ではないがそれなりに受けてみることにしていた.
が,最近立て続けに不届きなスカウトメールを受け取ることが増えたので一言言っておきたい.
「転職意思がなくても構わないので」と書くのであれば転職意思がなくてもちゃんとカジュアル面談しろよ
なんでカジュアル面談受けてるのか
前職のときは,それは仕事で扱うものである以上,自分で体験できるのであればそれはやっておいて損はないと思って受けていた.転職するかどうかにかかわらず,エンジニアが出てきて面談してくれるのは結構楽しい. 組織でも技術でも困っていることは聞けるし,何をどういう仕組みで作っているかも聞ける.
そういう職場的な事情以外でも,そもそも個人として転職するときの参考としても役に立つ. 転職するときは,そりゃー真面目に応募もするし面談もするのだが,そういう行動をする前に知っているというのは大事だ. まず転職時は同時期にいろいろな企業に声をかけたり,エージェントに紹介されたりするので,知らない企業のことを次から次へ調べる必要がある. そのときに,そもそも一度話したことがある人が組織内部にいるのといないのでは,応募時の心理的ハードルが全然違うし,「ここはこういうことやってて,この辺が困ってそう」というのがわかるだけで,応募時に何を話せば刺さるのかが把握しやすい. 真面目に検証してないけど,それは事前にわかっている方が対策もしやすいし,結果的に受かりやすいのではないだろうか.
また,運がいいとカジュアル面談した人と,その後もカンファレンス等であったりして付き合いが続くことがある. こうなればもはやそれはスカウトからの転職ではなくリファラル採用になるのだ.
というわけで個人的なメリットも感じるので,割とカジュアル面談を受けることは多い. ただし,
- 「転職意欲がない場合は無視して結構です」と書いてある場合
- 明らかに興味がなさそうな分野である場合
- 使用している技術的に明らかに興味がなさそうな場合
はその限りではない.それはまぁ,時間の無駄だしいいんじゃないかな.
不届きなスカウト
- Wantedly, LinkedIn, Tiwtter, メール等でスカウトが届く
- 「直近で転職するつもりはなくても,一度カジュアルにお話しませんか?」的なことが書いてある
- 「転職する意思はないけど,カジュアル面談は良いのでお願いします」と返す
- 「転職するつもりがないのであれば時間の無駄なので……」的なメールが届く
だいたいこういう流れになっていることが多い. 直近で転職するつもりはなくても,というのは何だったのか.
これが建前というやつか? だけどな,お前はこれを書いたんだよ.「転職意思がなくともカジュアル面談したい」という意志を表明したんじゃないのか? それを書いた以上,そのとおりに受け取られるのは当然で,「とはいいつつも転職する気がない人の相手をしている暇は」というのが透けて見えないのは,お前の表現が下手くそだからなんだよ.
日本語を正確に運用できないならスカウトなんて送ってくんな.
そもそもお前らは選ぶ側じゃない,選ばれる側なんだよ
根本的な問題として,ここ数年,そしていま現在,ITエンジニアを採用しようとするのであれば,企業は選ぶ側ではなく選ばれる側である. これは求人倍率からも明らかで,俺が優秀かどうかとか,そんなことは関係ないのである.
それなりに実務経験があるエンジニアはそれだけで,簡単に採用できるもんではないのである.
そしてもう一つ,エンジニアは転職時にリファラルで転職することが多いというデータがある.
上記でも述べたが,カジュアル面談の結果,リファラルとはいかなくとも少なくとも知り合い程度にはなれるのである.上手く行けばその後の交流もあり,リファラルになる可能性もある. せっかくカジュアル面談OKの返事をしても,「今転職意思がないのであれば」と断るのは,こういう可能性をドブに捨てているということだ.
こういうことを続けていくと,その企業は
- 運良く転職中のエンジニアに当たるまでスカウトを打ち続ける
- エージェント,転職サイト等から応募してくるのを待つ
くらいしかなくなる. スカウトを無限に打てる金があって,応募をただ待つだけの余裕があるならそうしたらいいんじゃないかね.
少なくとも,今カジュアル面談を断られた私は,転職しようと思ったときにこの企業に声をかけることはないだろう. だって誰も知らないし,何をやっているのかも知らない(知る機会は今奪われた),紹介してくれるエージェントがいるわけでもない.なんなら勝手に潰れていても知ったこっちゃない.
結局それをやって困るのはお前らだ
そもそもの前提として,転職するつもりがない状態で受け取るスカウトというのは結構ウザい. それに対して,このような態度を取る企業が続くのであれば,もうスカウトに返信するのも止めたほうがいいだろう.
WantedlyやLinkedInは自分で登録して,そのプラットフォーム内でスカウトを受けるのでまだわかる. だが,Twitterやメールで直接スカウトを送ってくる企業よ,私はお前たちからのスカウトを受けるためにTwitterアカウントやメールアドレスを保持しているわけではない. なんならスパムとして即時Complaintしてもいいくらいなんだよ.
そういうことばかりしているから,エンジニア側からはスカウトが邪魔なものとして扱われるようになるし,Wantedlyのスカウト受信制限を設定したりするわけだ. 結局それで困るのは,人材系のプラットフォーム企業と,そこに掲載して採用しようとする企業,つまりお前らなんだよ.
というわけで私はこういう対応をした企業を全部リストにして残している. 採用コンサルとして金をもらっているわけではないので,流石にこういう指摘を送ってあげたりはしない.密かに通報してブロックするだけだ.