最近,一度見たアニメを見返すことはあっても,新しいアニメをあまり見ていない.
一応人から勧められているものもあるし,見なきゃいけないと思うものもあるのだけれど.
先日,「ルパン三世 血の刻印 ~永遠のMermaid~」を見た.
いわゆるテレビスペシャルというくくりになるやつで,テレビシリーズが終わった後もかなり続いている.
まぁルパンと言えば毎年夏にやるのが恒例だったはずなのに,最近不調なのか・・・今回は12月に放映している.
実際ここのところ,テレビスペシャルのルパンは全然面白くない.
「ストーリーが」というのもあるのだけれど,そのほかのところでも残念なところは多かった.
それは作画とかにもしっかり出ていて,OPを見ると「あ,今回もはずれか」くらいに思えてしまう.
OP詐欺という言葉も聞くことはあるが,ルパンのテレビシリーズはかなり詐欺が少なく,OP通りな期待値をたたき出している気がする.
ただ,近年のルパンはどうも「テレビシリーズ第1期を懐かしむ」とか,そういう志向が強い気がする.
OPも初期の,'78を使っていたり,よくても'89くらい.
さて,そんなルパンのテレビシリーズの話ですが,今回の,キャラクターデザインの方が思いっきりジブリ関係の人なので,そういう絵柄であることは一目瞭然.
加えて話題の声優陣入れ替え.
もともとそれほど期待して見たわけではなかったのですが,それなりに面白かったです.
キャラクターデザインはそんなに気にならなかったし,全体的な作画も悪くはない.
あまり濃くはないけれど.
ひとつだけ,中盤付近でルパンと麻紀が氷室のビルから脱出するところは素晴らしい作画でした.
キャラが・・・というわけではないんだけど,あれだけ連続カットをつないで全部背景動画っていうのは見事でしたね.
ただ悔やまれるのは,最後のバトルの部分は全然大したことなかったことですか.
物語の盛り上がりと演出・作画的な盛り上がりはできればそろっている方が,見ている側も盛り上がるんですけど,そんなことはなかったですね.
声は違和感なかったですね.
まぁさすがの山寺宏一,良い声でした.
他の方々も.
やはり当初心配していたへもかわさんも,全然大丈夫でしたね.
話はやはりそんなに面白くはないんですよね.
多分原作にあるような話で,テレビシリーズ第1期のルパンを見ていたりすると,そんなに変な気はしないんだけれど.
どうも2000年前後に見ていたような,映画とかテレビシリーズのルパンにあったドキドキ感がまったくなくなっている.
俺が変わったのかもしれないけど,それを差っ引いても話がつまらない気がする.
これはドラえもんでも言われてたけど,21世紀になって人間が行ったことのない場所っていうのがどんどん減って,不思議なところっていうものがそもそもそんなに存在しなくなっている.
ルパンにしても,そんなに謎めいたことのネタがない気がする.
今回のネタ,これ20年前にやったらかなり面白かったと思うんですよ.
でも,今回のように,世の中に残っている不思議っていうものが,かなりネタ切れな感じがするんですよね.その設定自体に面白味が出てこない.
その上,敵役のように無条件で悪い悪役っていうものの存在も,もうそれほど現実味もない.
ちょっと前のルパンでは,こういう,昔の人が隠した謎とかを解き明かす系の話じゃなくて,警察が手を出せない社会の悪に立ち向かう系の話もあったんですよね.
俺はそういうものの方が好きだったんだけど,やっぱり今はそういうのも流行らないのかもしれないね.
そういうのって,ヤクザなんですよ.
これは昭和の時代の話かもしれないけど,警察に頼んでもなんとかしてもらえそうにないようなことを,地元のヤクザに頼んでなんとかしてもらう,みたいな解決法なんですよね.
それは世間が今ほど穏やかじゃなかったとか,理由はいっぱいあるのかもしれないけど,とにかく必要とされていて,ヤクザ自体も普通に存在していたわけじゃないですか.
今年はわりと話題になりましたが,今はそれほど必要とされていないのかもしれない.
だから,そういう,社会の悪に立ち向かうルパンも,やはり時代的にはそんなに魅力的な設定ではないのかな.
そんなことを考えていると,ちょっと前にOVAで出ていた,Green vs Redあたりは,そういったルパンというある意味反社会的なものの,自問自答的なものだったのかもしれない.
まぁそのあとなんも変わってないし,あの映画自体も締め方にいろいろ疑問があったんだけど.