絵が動けばそれで芝居の要素があるんだから,声に過剰な演技力を求める必要もない,という意見もあるのだけど

さて,原恵一監督作品「カラフル」の感想を書きましょう.

えっと一番最初に受けた印象が,声の話で申し訳ないけど,声優はなんとかならなかったのか.

もう一番最初で主人公とプラプラがしゃべるじゃないですか.

そこでげんなりするんですよ.

全員をベテラン声優にしよう!とか,アニメに声優じゃない人使うなとか言わないけど,せめて滑舌よくないと,とは思う.

ものすごく個人的な好みの話なんだけど,滑舌が悪くてちょっとトーンが高めの声ってかなり苦手なんですよ.

特に男性の声は.

藤原啓治みたいなベテラン使ってるのに,なんで一番よくしゃべってる二人があの声なのかなぁ・・・.

はい,声の話はここまで.

アニメーション制作はアセンションっていう,いわゆる知らないアニメ会社なんですが,制作サンライズとか書いてあってよくわからんですね.

ここで話したいがためにこの前あんな長い日記を書いたんだ.

これ,登場するキャラが全然キャラ立ちしてないんですよ.

だから,キャラをちゃんと動かしている.

おそろしいくらいに,カメラを引き気味で映すシーンが多くて,作画的には足までいつも動きを計算して描かなきゃいけなくて,かなり大変.

そして走るシーンもかなり多い.

映画らしくモブキャラもすべて動かしている.

たとえば駅前の通りとか,通行人は後ろの方までみんな歩いている.

それも明らかに手描きのセルでだ.

主人公が走るシーンで若干違和感を感じる部分もあるんだけど,基本的には画面内のキャラを全部動かしていて,そういうところはさすがだなと感じる.

絵的には綺麗なタイプのアニメで,絵柄も独特なものではない.

「あなたは一度死にました」といううたい文句の通り,一度死んだあとの世界が描かれるんだけど,この事務的な感じはどこかで見たことあると思ったら,それ町か.

死後の世界として,こういうお役所的な場所を描くのはたまに見かけるけど.

話の展開は,「これ何か起こるのか?」と最初疑問に思う.

なんというか,一番最初に説明されている段階で主人公がかなり納得しているので,「ここから感動モノにするにはドラマが足らないだろう」と思った.

確かに,冒頭では以外にあっさり溶け込んで,さして問題ないようにみえる.

だから,前半は絵も含めてストーリー的な動きが少ない.

後半は結構いろいろ起こる.

自殺の原因になったような,すごく重いところを見せながら,友達と同じ学校に行きたいという,なんだろう.

そういう清々しさがよく出ている.特に2人で廃線になった路線の跡をたどるあたりは.

あまり空想とか回想を出さないアニメだったけど,ここは話の展開的な懐かしさとか清々しさと,町自体の回想がぴったり合ってて見やすい.

原作からしてモノローグ多めの脚本のくせに画面の作り方は上手いし,いい感じに飽きない.

ガッツリ見るタイプではないけどしっかり見られる.

そういういいアニメでした.

ネタバレになるかもしれないけど,最後の最後の展開は予測できませんでした.

そこはこのアニメに必要な要素だとは全然思ってなかった(冒頭の説明とか見ている限り)けど,確かに終わってみればそうだよなって思える.

お陰で,ストンといいところに落としこんでるな,と思える.