社会全体的に楽しさが増えても,俺たちやっぱりそんなに幸せなのかと考えるとちょっと疑問

ちょっと面白いのがあったので一人ニヤニヤしながら眺めていました.
こういうのはtwitterで呟くことじゃない.

 

今日はtwitterの話なので,基本的には俺がフォローしてる人の話です.


今年就活が始まったとある大学院生の女の子が,「安定した企業に勤めて真面目に働いてくれる旦那がほしい」というようなことをつぶやいたんです.
そうしたら,別の大学院に行ってる男が,「それぐらい普通」って返してたんですね.

あ,女の子っていうとちょっと年齢的に疑問だし,不揃いなので女性と男性と言っておこう.
女性は「専業主婦になりたいけど,そういうと『これだから・・・』って言われる」と言っていた.
男性の方は「専業主婦良いじゃん,俺はそういってくれる人がいい」とか言っていた.

この男性をリアルで知っている俺は,「こいつ何言ってんだろ,結婚したいのかな」という思いの後ろに(笑)を10個くらいつけてみてたんですけど,別にそこの笑いの説明がしたいわけじゃない.


で,専業主婦になりたいっていう話は,ここ最近ではなくて,ちょっと前からよく聞く話ですよ.
たまに男でも専業主婦になりたいっていう話を聞くけど,それは主夫だなっていう変換を心の中でしておいて,あとはまぁあまり深く突っ込まないことにしています.

別に専業主婦になりたいって思うことは全然かまわないし,それはそれで結構大変なこともいろいろあると思うんですよね.
だけど,どうしても,心のどっかで何か引っかかるものを感じるんですよ.
「なに甘いこと言ってるの」って.

多分これが30年前とかなら全然そんなことないんですよね.
むしろ,「私働きたい!」っていうと「お前何言ってんだ」って言われる時代があったことを,俺らは知っているわけじゃないですか.それもそう遠くなかった昔に.

じゃぁなんで「甘いこと言ってる」と思うのか.

専業主婦になりたいというのは,家事が好きでたまらなくて,もうとにかく誰かのために尽くして働いて,それだけで生きていきたい.
毎日この人の食事は私が作ってあげたいし,この人の生活の世話は全部やってあげたい!それが生き甲斐!っていう意味での専業主婦じゃないと思うんですよね.

どちらかというとそういう方向より,就職して給料もらって自分の生活を成り立たせる・・・よりも主婦の方が楽に生きられる気がする,自分がそっちの方が幸せな気がする,という方向が近い気がします.

楽に生きられる,というと印象が悪いかもしれないけど,自分の生活を成り立たせる方法として,誰だかわからない大勢のために仕事をして,それで得た給料で生活するよりは,旦那のために尽くした方が自分にとっての幸せが大きい,というと少し印象が良くなる.

これだと,「甘い」という感じは薄れてくる.

でも,やっぱりなんかまだちょっと納得いかない.

多分それは「安定して真面目に働いてくれる旦那」っていうところだと思うんですよ.

これってつまり,結婚相談所に行って「年収1000万の30代くらいの男性」とか言ってる30代独身女性と同じものを感じるんですね.
手法としてはアリだけど,あんまり嬉しくない.
いや,むしろ俺が男だからなのかもしれないけど,これ本気?って思う.

今新卒の就職率って6割切るくらいでしょう.
つまり残りの人はもう1年やるとかニートとか…….まぁ収入を得る状況じゃないわけじゃないですか.
で,安定してるって,この時代に言うことですからそれなりに大企業じゃないですか.

就職出来る人の絶対数も減っている,企業自体の安定というのも減っている.
そういう状態で年収1000万っていうのは,つまりものすごい狭い市場なんですよね.
おまけにこれって結構多数の人が思うことでしょ?
ものすごい狭い市場にすごい大人数が集まる.
で,そこで戦っていけるだけの戦略とかはあるんでしょうか.

そこで戦っていくということは非常に敗れる可能性が高い.勝率は低い.
それは結婚するという目的のための戦略としてはあまりにも悲しい気がするんですよね.
「そういう人じゃなきゃ結婚なんかしなくてもいい」と思っているのなら,まぁアリですが.
そういう人はこんなこと言い出さないんじゃないかな.
少なくとも自分の給料で生きていくことが叶うってことでしょう.

そうすると,なんか自分ではどうにもならないから誰かに頼る.でも頼る人の条件はこんなのがいいな,みたいなことを言っているように聞こえる.

だから,俺が感じる印象としては,「高校を卒業する時に窓ガラスを全部割っていく」みたいな,不良という言葉が合うかわからないけど,そういう子供な印象がすごく強くて,ちょっと納得いかないんですよね.
あれは誰かが直してくれるからこそ割って行けるのであって,本当にマジで治安が悪い学校があったとしよう.
そしたら誰も直さないんですよ.
それが分かり切っていれば,多分後輩に相当な恨みを持っている先輩以外はやらないと思うんですよ.
次の年から後輩たちは窓ガラスの無い学校で生活しなきゃいけないことが,はっきりとわかっていればそんなことはできない.
誰かが直してくれるっていう甘えがあってのガラス割りです.

 


さて,
なんでこんなことになってしまうのかな.

別に悪いわけじゃないんですよね.
おそらく専業主婦になりたいというのは,結構普通にみんな考えることでしょう.
俺的に言うなら,ニートになりたい.


昔はこれでも成立していたんですよね.

簡単に言うとちびまる子ちゃんサザエさんドラえもんの移り変わりです.

ちびまる子ちゃんではお父さんが一人,働いている人です.
そして父の稼ぎで,まる子,姉,母,祖母,祖父,を養っていけているわけです.
おそらくこの家族構成と稼ぎ方,この時代ではそれほど異常に見えることはなかったはずです.

そしてサザエさん
ここでは,マスオさんと波平が働いていて,サザエ,カツオ,ワカメ,フネ,タラちゃん,を養っています.

さらにドラえもん
ついにのび太父が働いて養える人数が,のび太のび太母(とドラえもん)になりました.
ドラえもんの育成にどれだけ費用がかかるのか,人数としてカウントしていいのかがまったく謎なのでとりあえず人数には入れません.

そして今や両親二人が働いて,子供1人,ないしは2人を育てるのが普通になっている.


こうして,日本という国では一人が働いて養える人数がどんどん減ってきているわけです.
だからね,専業主婦になりたいって言うと,これに逆行しているから,なんか恐怖なんですね.

つまり世の中一般的に,2人働いて自分たちと子供を養う,という状態で,1人働いて自分と妻と子供を養う,という状態になれということなんです.

 

まぁそう考えると,冒頭の男性の発言は「俺は人一倍大変な思いをしてもあなたを養ってあげます」って言ってるように見えて,この人は何結婚を申し込んでいるのかなって思ってたりしたんですね.

 

あ,これは俺の意見ではないけど,
働きたくない,とか,恋人がほしいけどなんかめんどくさくて作らない.
というのは現代において,かなりそこかしこで聞ける意見ですが,なんでこう思うのか.

別に「恋愛する楽しみがわかってないから」とか「働く楽しみがわかってないから」じゃないんですよね.
まぁ確かにわかってない時期もそりゃああるんでしょうけど,そういうのをわかってもなお,働きたくないんですよ.

そうじゃなくて,これは社会に無料であふれる楽しいコンテンツが,ある一定上の量に達してしまったから,なのではないかと(これは俺の意見ではないけど).

働いて給料をもらう,恋愛をして他人と打ち解けあう,というようなものと,同じとはいわないけど,それに近い快楽を無料で大量に得ることができる状態に生きているんです.
そうすると,給料をもらったり恋愛をするときに必要になるめんどくさいことをすべてすっ飛ばして,まさに無料で楽しさが得られてしまうから,こういうことにめんどくささを感じたりするんじゃないですかね.