結果としてかなり良かったのでちょっと紹介する.個人的にかなり悩んだ買い物だったけど,悩みは後半に書く.
買ったもの
34インチのUWQHD,つまり3440x1440のディスプレイ.ゲーミングモニターとして売り出しているが,ゲームは全然やっていない.ちなみに曲面ディスプレイで,曲率は1800Rだった.
DELLのディスプレイの一番の懸念点は入荷に時間がかかる場合があるということ.今見ると2週間以上待ちになっているが,私が買った時点では2日後に届いた.この辺が嫌になってDELL以外を選択する人も結構いるだろう. ただ製品としては非常に良い.
良い点
なにはともあれ広い.3440x1440の広さはヤバい.
違和感ない広さでブラウザで調べながらターミナル開ける.
デュアルディスプレイに勝る点は3分割できることだろう.
もちろんEmacsも3分割にしてる.
4分割でも全然開発できる.
- 1800Rは思ったよりカーブがきつくなくてちょうどよい
- ベゼルがかなり小さい
- VAパネルだが発色はかなり良い.以前のディスプレイよりかなりきれいに見える.
- ゲーミングだけど無駄に光ってる部分がなくて良い
- 思ったよりデカくない.特に縦に関しては27インチディスプレイとほぼ同じくらいになる
その他
- プログラミングが主な用途なので144Hzはまったく体感できない
- GeForceなのでFreeSyncも体感できない
- プログラミングなので応答時間も(ry
- i3wm使いなので付属アプリによる画面分割は使っていない
他に悩んだ製品
曲面
平面
4Kは扱いにくいという話
ここからは悩んだことを書いてく. まず,ディスプレイを新しくしようと思ったのが出発点だ.もともと1920x1080の27インチディスプレイを使っていたのだが(2015年くらいに買ったやつ),さすがに結構使ったし,今どきFHDはちょっと狭い.せめて2560x1440のディスプレイにしたかった.
しかし巷では4Kディスプレイが話題だ.もともと狭いと感じていた以上,もっと広い作業スペースがほしい.それならWQHDより4Kのほうが良のではないかと思った.ただし,流石に4K27インチにすると,今のサイズ感のまま文字サイズ等が一気に1/4になるわけで,小さすぎる.となると,ディスプレイ自体を大きくするかHiDPIを使うしか無い.
使いやすいディスプレイの大きさには限界がある
たとえば40インチのディスプレイとかも売っている.ただ,これがパソコンを使う上で使いやすいサイズかというと絶対にそんなことはない.特に上下の視線移動が多くなると首が痛くなる. おそらくだが,普通にデスクの上で使うのであれば32インチ程度が限界だろうと思っている.そのサイズで4Kとなると,やはり文字が少し小さいと感じる.これが2560x1440であれば,丁度いいくらいなのかもしれないが.
HiDPIは使いどころが難しい
HiDPIを使うとして,何倍にするかという話がある.仮に2倍にした場合,解像度としては1920x1080になるわけで,まぁRetinaと同じ状態になるわけだ.これはこれできれいなんだけど,あれ?もともと1920x1080が狭くてでかいディスプレイほしかったんじゃなかったっけ? ということはHiDPIは2倍より小さい値にする必要がある.しかし,整数倍ならともかく少数値倍のHiDPIは非常にやっかいだ.特にLinuxにおいてはすべてのアプリケーションが対応するわけではない.
また,Macであっても現状少数倍のHiDPIはサポートしていない.そのため,4KディスプレイでHiDPIを使うなら1920x1080にするくらいしか使い道がなく,Retinaみたいなきれいな表示を得られるだけで,表示領域を増やすのにはあまり有効な手段とは思えなかった.
5Kのディスプレイとかであれば,HiDPI 2倍にした上で2560x1440の解像度があるので便利そうではある.が,やはりHiDPIやRetinaを求めないのであれば,最初から2560x1440のディスプレイを買えばいいのでは?という気がしてならない.
というわけでUWQHD
というような理由から3440x1440のディスプレイを買うことにした.27~30インチ程度の2560x1440という選択肢もあったのだが,やはり表示領域の広さを求めるのであれば34インチのほうが広い. 34インチのウルトラワイドであれば,縦のサイズは27インチとほぼ変わらない.どちらも330mm程度だ.それでいて横幅が800mmある.表示領域も広がるし,文字の小ささも丁度いいくらいになる.
あとはこの横幅になると,平面にするか曲面にするかという問題だけになる.
曲面ディスプレイはプログラミングに向いているのか問題
一番気になるのはここだろう.そもそもゲームをしない時点で曲面ディスプレイのメインターゲットでないことは十分承知している.
個人的には向いていると思っている.なによりも画面端の文字が読みやすい. プログラミングにおいて,画面端の文字を読む頻度は結構高い.例えばあなたのターミナルを想像してみてほしいんだが,だいたいのターミナルは
こうなっている. つまり左最下段に常にコマンドを打ち込み続けるわけで,最も注目しているのは左最下段ということになる.
次にエディタを想像してみてほしい.たいていのプログラムは左から右に書いていく.おまけに最近のlinterは一行の文字数を制限してきたりする.すると,中央付近にはあまり文字列は書いてなくて,どうしても画面の左を見ることが多くなる.
このようにプログラミングという作業は,なかなか画面中央を見続けながらできる作業ではないのだ.
そのため,画面端の文字が見やすいというのはかなり有り難い.
ただし違和感はある.特に初日はかなり違和感を感じる.何に違和感を感じるかというと,一行が湾曲して表示されることだろう.曲面ディスプレイはどうしても視点の中心部分以外は湾曲して見えてしまう.つまり下段や上段(これは視点の位置により多少変化する)は行が歪む.おそらくExcelのように表を表示するときが一番違和感を感じるだろう.
これについては慣れた.集中していればさほど気にならないし,そもそもプログラミングという作業において画面全体を見渡してなにかすることは稀だ.
ただしRは非常に重要
メーカーの商品ページや価格コム,Amazon等のページでは書かれていないことが多い(仕様書とかのpdfを見れば書いてある)が,曲率(R)がどの程度なのかは非常に大事だ. 私のディスプレイは1800Rなのでこのくらいの違和感で済んでいるが,1500R,ましてや1000Rともなるともっと違和感は出るだろう.実際にヨドバシカメラに行って実物を見たときも,1500Rはかなり歪んで見えた(その分画面端の文字はさらに近くなるのだが).
また曲率はディスプレイサイズによっても感じ方が違う.1800Rであっても,例えば40インチになればもっと湾曲しているように感じるだろうし,逆に27インチになればもっと緩やかに感じるだろう.たまたま34インチの1800Rがちょうどよかったという話でしかない.
ちなみに,
こういう人もいるので,曲率によってどの程度自分の目が違和感を感じるかはちゃんと確認したほうが良い.私も,乗り物酔いはかなり発生しやすい方なので心配していたが,幸いこのような気持ち悪さは一切なかった. ただし買う前は不安だったのでヨドバシカメラに行って,同じ34インチの平面と曲面両方にEmacsを映して確認した.店舗で5時間も6時間も作業するわけにはいかないので,確認程度であったが,今の所酔うような症状はない.
また,このあたりの記事では3800Rのものが紹介されている.
が,最近のラインナップで3800Rというのはあまり見かけない.DELLであれば
このくらいだろうか.ゲーミング用途だとやはり没入感が大事なのか,1800Rや1500Rが多いように見える. 曲面ディスプレイ自体,一定の曲率で湾曲した液晶を作らなければならないので,技術的に難易度は高めである.それが,だんだん技術進歩してきて最近では1500Rとかを作れるようになったのではないだろうか(憶測です).それによって3800Rや2300Rよりも,より曲率が低いものが出回るようになってきているのではないだろうか.ゲーム用途であれば,1500Rが自然と言われるわけで,ここまで曲率を下げてくるのも納得する. ↑の記事で触れられているASUSのROG SWIFT PG348Qも後続モデルのROG SWIFT PG35VQでは1800Rが採用されている.
そのため,実店舗での確認も1800Rと1500Rは見ることができたが,2300Rや3800Rは見ることができなかった.今現在あんまり力を入れて売り出していないんだろうね…….
映像はまったく気にならない
ゲームや映画も見てみたけど,これについてはまったく違和感がない.おそらくここについてはあまり心配しなくていいんじゃないだろうか. そもそもゲームや映画は映像であって,常に動いている.そのため,表のように絶対的な枠線が固定で表示されることもないし,それが水平であることを前提に見ていないだろう.そのため,湾曲していてもほとんど気づかない.確かに見やすいとは感じるが,違和感を感じる基準になるものがあまり表示されない.字幕とかをずっと表示しつづけると多少感じるかもしれないが,それですらどんどん切り替わるのでな…….
というか,ここで違和感を感じるのであればそもそも映画館のスクリーンですら違和感を感じているはず.
なので本当に心配しなくて良いと思う.
やはりタイル型ウィンドウマネージャーとの相性は最高
以前書いたとおりだが,タイル型ウィンドウマネージャーは広いディスプレイで使うと真価を発揮する.特にウルトラワイドディスプレイなんかだと,公式で分割アプリを出すくらいには,分割して使うことを想定している.まさにタイル型のためにあるようなディスプレイだ.これだけ広いと1ウィンドウに使える領域も広くなるし,1ワークスペースに詰め込めるウィンドウ量も多くなる.よってワークスペース間移動が減り劇的に作業効率は向上する.仮にコンポジット型でこのディスプレイを使おうと思ったら,ウィンドウの手動並び替えが発生しまくって手に余るだろう.もちろんそういうときのための分割アプリなんだろうが,こと画面分割においてそもそもタイル型として作られたウィンドウマネージャに勝るものはないのではないだろうか.
あと,これは17->27インチに変えたときも思ったのだが,ディスプレイが大きくなると視界に占めるディスプレイの割合が大きくなり,集中しやすくなるような気がする.