やはりスタッフが変わっていると,昔見たものとはだいぶ印象が違う

本日の岡田斗司夫のニコ生シンクタンク,アニメの話をしていた部分がかなり面白かったので抜粋します.

ちなみに話していた言葉をtwitterで書きとめていただけなので,かなりまとめてあります.

事の発端は,ガンダムでおなじみの富野由悠季が,文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門大賞に選ばれた「魔法少女まどか☆マギカ」に対して,「なんでまどマギなのか」と言い出したことに始まります.

これについての岡田斗司夫の発言があって,おそらくちょっと前にこのブログでも取り上げた,「キャラクターの薄さ」についてです.

富野さんが作るキャラクターというものは,初めに登場するときに与えられているのは性格のみ.

そして,話が進んでいくにつれてだんだんキャラクター自身が成長していくる.

キャラクター自信が,「自分がなぜこんなことをしているのか」と問いかけて,話の中で自分が担っている役割みたいなものに疑問を抱いていく.

そうやって,キャラクターが自分自身の厚みを増していき,やがてキャラクターが勝手に動き出す,というようなキャラクターの作り方をしている.

それは,アニメというものがまだ市民権を得ていなかった時代,小説やら映画やら,他の芸術たちに並ぶために必要だったものであって,それがあってこそ今のアニメがある.

でもって,まどマギに出てくるキャラクターに,「キャラ」という薄さを感じるのは,そういう自問自答や成長を描いていないからだ.

キャラクターが最初に持たされるのは,性格ではなく属性を持たされてしまう.

だから,ほむらが「なんで自分がこんなループを繰り返しているのか」ということを思ったり,「なにやっているんだろう」という溜息をもらすようなことは絶対にしない.

与えられているのが属性だから,属性以外のことはせず,キャラクターがそうやって厚みを増していくことをさせていない.

前述のキャラクターから見れば,「キャラ」というのは看板に書かれた絵みたいなもので,その看板の向こう側にはなんにも存在しない,薄っぺらい1枚の絵のようなものだ.

だけど,まどマギは,ここ数年で間違いなく一番話題になっているアニメだ.

まどマギっていうのは,アニメの中でキャラクターは成長しない.

だけど,見た人間たちが,見ながら実況したり,終わった後にネットで語り合ったりしているうちに,ユーザーが語りだすまどマギというのがどんどん膨らんでいく.

そうやってネットで膨らみきったまどマギ,想像やら議論やらをみんなで共有したそれ自体を作品とみると,まるでクラウドのような作品となっている.

だからひとえに,時代に即したアニメであることは間違いないし,だからこそこんなところで選ばれたりしているんでしょう.

というような話でした.

面白いですね.

さて,

今日は鋼の錬金術師の劇場版,嘆きの丘の聖なる星を見ました.

ネタバレ普通にしているからね.

最近見ているアニメ映画の中ではかなり面白い方でしたが,イマイチという感じもします.

作画枚数や動きや演出に関しては,さすがボンズといった感じで,見事なアニメーションではあるのですが.

FAの方は全然見てなくて,ハガレン自体が久しぶりだったのですが,それにしては昔のようなわくわく感もなかった.

というのも,これに関して言うと使い古された話だという感じがぬぐえません.

賢者の石,絡みの話は本編でもかなり出てきますよね.

その話を長めに作った,というような印象が強い.

シャンバラと比べるのはよくないと思うのですが,話の作りとして,まるで長編シリーズものの番外編映画のような印象ですね.

シャンバラは,最終回に直結していたし,話の内容自体が主人公たちにかかわる重要なところだったので,かなり面白かったのですが.

ミロスは,主人公たちにはあまり関係ない番外編的な扱い.

しかも,賢者の石を作ってそれをめぐる争い合い,という話の流れ自体が,ハガレンとしてはあまりにも普通すぎてちょっと面白味にかけるかなぁ.

賢者の石絡みだといろいろこのアニメはおかしいところがある気がするんですが,まず出てくる他人がかなり悪役が多い.

特に,兄の描写については,描くところはそこなのかなぁ……とも思う.

だってこんなこと,初めから辞めた方がいい,ということがわかってるじゃないですか.

それに対して,止められなかったことを悔やんだり……まぁつまり主人公が苦悩したり限界を感じたりするところがない.

そして兄の側も,なんというか描写が足らないよ.

最後無理やりいいやつに収めようとしているんだけど,ここは出てきた時点で「こいつはそんなに悪い奴じゃない」とさせるべきだよ.

なんか,戦って生き返らせたからいいやつになる,という流れよりも,もっと多面性を持たせてよ.

それと,昔からかもしれないけど,言葉の説明が多いなぁ.

国家間の関係だとか,謎解きのシーンはセリフ大目だから,あまり面白くない.

面白くなくて,なかなか頭に入ってこないから,共感もできない.

つまらない,とはあまり感じないのは演出の上手さでしょうか.

話の展開のさせ方はとても上手いので,見事なまでに2時間サクっと見られました.

特にアクションシーンをうまい具合に静かなところと交互に入れてきて,最後の盛り上がりもしっかりある.

こういう構成にされていると,そこまで全部全力投球というわけではないのに,話も絵も動いていないシーンがまるで存在しないような,するすると流れていくようにアニメが見られるので,とてもいい.

しいていうなら,空を飛ぶ人たちは,もう少しだけ空からの視点があると,なおよかったかもしれない.

どちらかといえば主人公視点なのだけれど.

作画的な問題かもしれないんだけど,ジュリアが賢者の石を飲みこんでから,まったく人が変わったように描かれていますね.

見事です.

「あれ?」と思わせるくらい変わっていて,最後にはきっちり元に戻っている.

最後だけとると,なんとなく清々しいアニメに見えなくもないけど.

ちなみに,ゲストキャラのCV.坂本真綾が最高でした.