『ニートの歩き方』を読んだ

ニートの歩き方』(pha)を読んだ.

こういう本を出すとは,ニートとしてなかなかすごい.

いや,本を書いたんだからすでにニートという呼び方でいいのかわからないが,本人もそれで納得してそうだ.

この本はCAMPFIRE(http://camp-fire.jp/)というクラウドファンディングのプラットフォーム上でお金を集めて出版された.

出版に関するお金ではない.本を書く間,たとえば半年とかいう期間がかかり,その間は本を書くことがメインになる.

そのため,ほかの小銭稼ぎができなくて,ニート生活を送れないので,その生活費をクラウドファンディングで集めていた.

俺自身はそこに出資したりはしなかったけれど,なかなか面白いのでRTくらいしたと思う.

それでこうして本を買っているんだから,まぁなんかうまく乗せられている気がしなくもない.

この本には,phaがブログで普段綴っていたような,働くことに関する疑問とか,働かなくていいんじゃないの?という問いかけのほかに,じゃぁどうやってニートが生きているのか,ということが結構細かく書いてある.

ニートとつがなりがありそうなところで,ホームレスとか生活保護の話もちょろっと出てくる.

なので,しっかりと保険の話とか年金の話,クレジットカードの話なんかも出てくる.

なんて実用的な!

実際のところ,著者の年収は80万円くらいだそうだ.

それでも,1日のうち8時間とか9時間は寝ているし,そのほかにごろごろしている時間も相当長い.

家はシェアハウスだし,車は持っていないし,結婚もしていなければ子供もいない.

猫は買っているけど.

それでも家には常に誰かが遊びに来たりしていて,ネットゲームしたり古いゲームをしたりボードゲームをしたりする.

一人の時はネットで遊んで,欲しいものは運がいいと誰かにもらえたりする.

まえがきにちょっとネットでは有名かもしれないコピペが引用されていたので,俺も丸ごと引用します.

メキシコの田舎町。海岸に小さなボートが停泊していた。

メキシコ人の漁師が小さな網に魚をとってきた。

その魚はなんとも生きがいい。それを見たアメリカ人旅行者は、

「すばらしい魚だね。どれくらいの時間、漁をしていたの」 と尋ねた。

すると漁師は

「そんなに長い時間じゃないよ」

と答えた。旅行者が

「もっと漁をしていたら、もっと魚が獲れたんだろうね。おしいなあ」

と言うと、

漁師は、自分と自分の家族が食べるにはこれで十分だと言った。

「それじゃあ、あまった時間でいったい何をするの」

と旅行者が聞くと、漁師は、

「日が高くなるまでゆっくり寝て、それから漁に出る。戻ってきたら子どもと遊んで、

女房とシエスタして。 夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、

歌をうたって…ああ、これでもう一日終わりだね」

すると旅行者はまじめな顔で漁師に向かってこう言った。

「ハーバード・ビジネス・スクールでMBAを取得した人間として、

きみにアドバイスしよう。いいかい、きみは毎日、もっと長い時間、

漁をするべきだ。 それであまった魚は売る。

お金が貯まったら大きな漁船を買う。そうすると漁獲高は上がり、儲けも増える。

その儲けで漁船を2隻、3隻と増やしていくんだ。やがて大漁船団ができるまでね。

そうしたら仲介人に魚を売るのはやめだ。

自前の水産品加工工場を建てて、そこに魚を入れる。

その頃にはきみはこのちっぽけな村を出てメキソコシティに引っ越し、

ロサンゼルス、ニューヨークへと進出していくだろう。

きみはマンハッタンのオフィスビルから企業の指揮をとるんだ」

漁師は尋ねた。

「そうなるまでにどれくらいかかるのかね」

「二〇年、いやおそらく二五年でそこまでいくね」

「それからどうなるの」

「それから? そのときは本当にすごいことになるよ」

と旅行者はにんまりと笑い、

「今度は株を売却して、きみは億万長者になるのさ」

「それで?」

「そうしたら引退して、海岸近くの小さな村に住んで、

日が高くなるまでゆっくり寝て、 日中は釣りをしたり、

子どもと遊んだり、奥さんとシエスタして過ごして、

夜になったら友達と一杯やって、ギターを弾いて、

歌をうたって過ごすんだ。 どうだい。すばらしいだろう」