少子高齢化サークルの活動

大学にはサークルというものが無数にある.

ぶっちゃけどういう基準で認可されるのか,もしくは勝手に活動しているのか,よくわかっていないし,「公認」「非公認」という区分があることも最近まで知らなかった.

俺の所属するサークルが,現在「公認サークルになろう」という話を進めている.

サークルが校内で活動しやすくなるのはいいことだし,若い人がいっぱい入ってこられる土壌を作るのも非常にいいことだ.

だけどイマイチ,この動きに乗り切れてない俺がいる.

東工大には15くらい音楽系のサークルがある.どれが公認で,どれが非公認なのかということに関して,俺はまったく知らないし,他サークルの活動も全然知らない.

いやいや,理系大学ですよ.そこの大学院生ですよ.

どう考えても,俺が「サークル活動楽しい!」とか言ってるリア充大学生と対極の位置にいることは自明なんですよ.

だから,「大学に入学したら,サークルに入って楽しいキャンパスライフを!」みたいなことを一切考えていなかった.

せいぜい「大学に入ったら休日も深夜も,お盆年末年始も関係なく研究室に入れる.万歳.」くらいなものです(※理系大学には重要なことです).

俺のサークルは,ピアノ,もしくは何か楽器を演奏できる人たちが,演奏会の時に集まって好き勝手な曲を演奏するサークルです.

サークルの活動として,とてもぬるい.

集まりと言えば,演奏会前の打ち合わせや打ち上げくらいで(公認ではないので部室もない),ぶっちゃけ演奏会以外で顔を合わせることがほとんどない.

アンサンブルで複数人で合わせる場合も,各々が勝手に連絡を取り合って練習している.

それでも,ベートーヴェンとかショパンとかラフマニノフとかリストとか,それなりのレベルにして毎回演奏会ができているのは,ひとえに「好き勝手にやっている」人たちのレベルの高さに支えられている.

東工大でも「音大を目指していました」とかいう酔狂な人が一定の割合で混じっていて,そういう人たちや「管弦の空気が合わなかった」とかそういう人たちが流れてくる.

そして,宣伝活動もほとんどしないし,本当に演奏会のときくらいにしか新しい人が入ってこない.

だからこそ,こういう「ガチでクラシック好きなんですよね」っていう人たちだけが集まっていて,このサークルの空気とかレベルを維持できている,のだと思う.

そういう「ふるい」が存在しているからなのかわからないが,うちのサークルは院生以上の人間がかなり多い.

年齢層的には非常に少子高齢化状態である.

ただ,日本社会の少子高齢化と違って,院生になった段階で,もしくは俺のように院生として他大学から入ってくる人間がかなり多いので,単純に先細り未来が待っているわけでもない.

その少子高齢化サークルが,今年なぜか若い人が多い(ここでいう若い人というのはB3以下の人です).

この若い人たちが中心になって「活動を広げよう」とか「公認サークルになろう」という動きを見せ始めている.

公認というのは,確かにメリットがでかい.

平常時の学校内の施設,もしくはピアノ等の使用許可は圧倒的に公認の方が有利だ.

これが一番でかい理由なのだろうが,文化祭とは関係ない日に校内の講堂を抑えられる.

文化祭当日は,どのサークルであってもある程度校内施設の使用許可が下りるのだが,文化祭準備日以前だと,それは公認にならないと難しい.

演奏系のサークルとしては,リハーサルをやるタイミングが取れないので,現在は,文化祭1日目にリハーサルを取るしかなくなっている.

これが,文化祭1週間前,もしくは準備日にリハーサルができれば,演奏会を2日間にわたって開催できる(そのくらい,現在は人数が増えてきていて時間が足りない).

そして,広報活動としても,新入生勧誘の舞台に立つことができる(サークル紹介では公認サークルしか紹介舞台に立てない).

俺がこの活動に乗り切れないのは,新入生をゴソっと入れることに,かなり抵抗があるからだ.

活動を広げるのはいいだろう.だけれど,それは現在いる人たちの活躍の場を2倍に増やそう,という話ではない.

だいたい,そんな話になれば修士や博士の学生が多いうちのサークルは,さらに幽霊部員を増やすことになりかねない.

ここで言う,活動を広げるというのは,演奏曲の敷居を下げて,若い人を入れてサークル自体の活動を活発化させようという話だ(そういう方向を目指さなければ,そもそも公認の許可が下りないのだろうが).

おそらく,演奏曲の敷居を下げることと,新入生をゴソっと勧誘するというのはセットでなければならない.

今のうちのサークルは,ぶっちゃけ「最初から楽器弾けない人はお断り」レベルなのだ.

だから,誰一人として「楽器はちょっとしか弾けなくてもなんとかするよ!」という人はいない.

それならば,新入生をゴソっと勧誘しに行っても,ここは音大ではないのだからそんなにピアノを弾ける人間がゴロゴロいるわけでもない.

多分,弾けて,弾きたい人間は放っておいても演奏会のタイミングで見つけて入ってくる(そういう人間を増やしたいのであれば,別のアプローチの方が効果的).

となると,新入生を大量に入れるのであれば,その敷居を下げないと意味がないんですね.

つまり,弾けて,弾きたいと思っている人間以外がそれなりの数入ってくることになる.

これは……なんかあまりやりたくないんですよね.

なんか招待制を辞めて,年齢制限も取りやめにして,現在ユーザー数減少中のmixiを見ているみたいな気がして.

実際,最近のサークルの中で,俺は高齢者側なのです.

「いやぁ,最近の若いもんはすごいよね,公認化とか言い出しちゃうんだもん.」って言いながらお茶飲んでるおじいちゃんの気分.

先日,めずらしく集まりがあったのですが,B4以上の人間たちは本当にこういう状態でした.

結局俺たち院生以上の人間にとっては,サークルの活動が活発化しても,そんなに毎回参加できない.

キャンパスも,大岡山にいる人は半分くらいだし,今年から京大などの他大学院に行っている人もいる.

だから年に3,4回顔を合わせる現在の頻度以上の活動は難しいんです.

今はそれでも敷居がそれなりに高いので,みんなで集まっても話が通じる.共通言語が存在していて,音楽の話だけで話が通じる.

でも,サークルに新入生が増えて活動が活発化したら,今のような状態って維持できない気がするんですよね.

それが嫌で,どうも今回はあまり献身的に活動していない.