そういえば空の境界の劇場版を見に行ったきり、感想を書いていなかったので書きます。
ここまで、全章見てきて、随分と間が開いて、この未来福音である。
もともと、全7章で構成されていた空の境界の、サイドストーリーにあたる話が、ようやっと映画化された。
待ちに待った……というほどの期待でもなかったのは、なにしろサイドストーリーだからだろう。
本筋の方でも、6章「忘却録音」あたりはかなりサイドストーリー的な扱いな気がしていて、ぶっちゃけあまり面白くなかった。
だから、はじめからサイドストーリーとして作られている未来福音も、相当なオマケ感があったのは否めない。
そのためあまり期待はしていなかったのですが……
面白いです。
劇場版にしては、話の大きさがやや足らない感じはしますが、アニメ映画として十分に楽しめるものになっていました。
extra chorusはともかくとして、未来福音本編自体はなかなかに面白い。
番外編ではあるものの、新しい事件を起こす新キャラが出ており、新しい話の展開がしっかりなされている。
いくら劇場版とはいえ、あれだけ一気に創り上げた全7章のあとで、番外編を何やろうとも、そんなに面白い話を出すはずもないし、もっとエピローグ的な内容ばかりで緊迫感のないものかと思っていた。
ところが、いい感じに事件は起こるし、しっかり血が飛んでいるので、良い期待はずれだった。
若干、未来の話を入れていて、最終的には伏線を回収する流れもあるので、後半がだらつきはするのだけれど、クライマックスはあるし、物語にはいい緊迫感がある。
序盤で、クライマックスを見せるという演出は、劇場版空の境界の中では初めてかと思う。
そのあたりは、ちょっと俺のように舐めてかかってる客に対して覚悟を見せているのだろうか。
その序盤から、犯人と式とのケリがつくあたりまでは、流れがスムーズで見やすい。
ちょいちょい幹也と瀬尾の会話を挟んでくるのが、未来視の対比になっているのだけれど、ちょっと巻き込まれることを期待していた。
後半のエピローグは、意外でしたね。
というか、空の境界でこういうエピローグをつけて、式のその後の話などを出してくるとは思ってませんでした。
こういう明示的な見せ方は珍しい。
この映画は、大きく2部の構成でできています。
前半の、式が犯人を追い詰める……いわゆるバトルシーン多めの、今まで通りの空の境界と同じ話。
後半は、そこからかなり経った未来の話。みんなが大人になってからの話。
未来という観点で見ると、3部の構成になっています。
冒頭、クライマックスシーンで見せるのは、爆弾魔の見る未来。
そして事件を追い始めてからは、式が未来を変えて、クライマックスシーンを見せる。
後半は、意外にも観客に見せる空の境界の未来の話。
空の境界というのは、元々が小説です。
そのため、これまでの劇場版では絵で見せるシーンが非常に多かった。
矛盾螺旋あたりのバトルシーンはすごい描き込みだ。
だけど、今回、一番絵で見せつけてきたのは、冒頭の式がやられるシーンだろう。
そこもかなり意外だった。
冒頭で一気に引き込まれるようなタイプのアニメだとは思っていなかったので、かなり楽しめました。
もちろんいつもどおり、絵はすごく綺麗だし、ちゃんと血が飛んでいる絵が綺麗に描かれている。
そういうシーンがあると、やっぱり嬉しくなる。