Cinelerraを使ってみた

最近,わけあって映像編集ソフトをいろいろと試していた.

目指していたのは,無料で使えるノンリニア編集ソフト.

ちなみに,有料であれば迷わずAdobe Premiereを使うべきなのだが,金がないのはいつものことだし,そこに金をかけることで省かれる手間というのは膨大なのだけど達成感はまるでないので,あえて無料にこだわります.

多分そういうところで無駄に苦労したがる人間というのが,世の中にはある一定の割合で存在するのだと思います.

無料という制約はかなり大きくて,Windows上で動作するノンリニア編集ソフトでフリーのもってかなり少ない.

使ってみたのは,VLMC,Lightworks,Wax.

VLMCは機能としてはかなり抜群で,英語ばかりのフリーソフトウェアの中ではかなりわかりやすい方なのだが,なにしろ動作が不安定.

無圧縮aviを扱いたいのだけれど,こういう重たい動画を読み込むとすぐに落ちてしまう.

こまめに保存するにしても落ちすぎなので,さすがにこれはまだ使えるレベルではない.

LightworksはWindowsで動作するノンリニア編集ソフトの中ではかなり上位.

最近フリーになったばかりだが,フリーだからなのかやっぱり入出力周りに不満が残る.

カメラを読み込んでくれなかったり,動画の読み込みもかなり制限され,出力の制限はさらに大きい.

エンコーダの制限,という意味もあるのだけれどアスペクト比や動画のサイズへの制限が大きい.

おかげで動画編集ソフトなのに,あまり動画の編集ができない(というかソフトの操作自体がいまいち使いにくい).

というわけで,どれもいまいち使いにくい.

Windows7になってから,Windows Live ムービーメーカーはかなり使い物になるようにはなっているけど,やはり使っていると「あれやりたいなぁ」「これができたらなぁ」と思うことが多い.

エフェクトにも限りがあるし,強制的にwmvにされるのも受け付けない.

そしてついに手を出してしまった,Cinelerra.

こいつはそもそもWindowsでは動作しない.これをいじりたいがために,自宅のPCをWindows7Ubuntuデュアルブートにした.

ほかにもLinuxで使える動画編集ソフトは多い.

Avidemux,Kdenlive,Kino,Open Movie Editor,は試してみました.

Avidemux,Kdenliveはいまいち使いにくい.

求める機能がなかったりして,やっぱりこれはWindowsで使っていたノンリニア編集ソフトとどっこい.

Kinoは動画編集としてはあまり使えないのだが,DV変換するときにかなり使える(後述).

Open Movie Editorは良さそうなのだが,前述のVLMCと同じく動作が不安定で,頻繁に落ちる.

やっぱりCinelerraが一番使えるんですね.

Cinelerraで無圧縮aviを読み込むには,一度DV形式に変換する必要がある.

これはKinoでavi動画を読み込むときに,自動的に変換してくれるので,そいつを使う.

ただ,aviにこだわらなければDV形式以外もmpeg,Quictime,DVD動画,Ogg Theora/Vorbis,といろいろと読み込んでくれる.

出力形式はさすがに無料だけあってこちらも「なんでもできる」とは言い難いが,アスペクト比,動画サイズについてはかなり自由がきいて,プロジェクト側の設定でいくらでも変えられる.

動画の拡大縮小,切り貼りが割と自由にできてしまう.

(エフェクトがかけられるのは,まぁどのノンリニア編集ソフトでも当然のことです.)

注意しなければならないことがあるとすれば,DV形式の変換とwavの読み込みの時だ.

DV形式の映像は,720x576であれば25fps(これはサイズにより変わる),音声は48kHzでサンプリングされている.

そのため,映像とは別にwavなどで音声を用意する場合も48kHzにしておかないと,音ズレする(プロジェクトの設定も).

読み込んだ時点で音ズレする場合もあるし,レンダリングしてみたら音がずれているってこともあった.

また,KinoでDV変換をする際も,先に無圧縮aviを(720x576であれば)25fpsにしておかないと,その時点で音ズレする.

※ちなみにサイズは自動調節してくれるので,640x480でも25fpsならそのまま自動的に720x576に変換してくれる.

Cinelerraのレンダリング

色々試してみたのだが,出力もDV形式で出してしまうのが一番楽だ.

RawDV形式で出力してしまえば,その後はどんな形式で圧縮するか,という話なので別ソフトに頼る.

ffmpegで2pass,H.264+AACでmp4コンテナにしてしまうのが一番無難な気がする.

※これについては別記参照→ffmpegとx264を入れてみた

Cinelerraで圧縮するならOggという手もある.

Micorsoft AVIはまだバグがあるのか,上手く変換できない.

QuickTimeは,色合いがヤバイ色になる.もしかしたらYUVではなくRGBでやればうまくいくのかもしれない.

と,そんなところですが,なにしろ編集周りの操作が非常にやりやすい.

俺はAdobe Premiereを使っていた人間なので,その立場からすると非常に操作がわかりやすい.

ただ一つ難点があるとすれば,トラック同士のグループ化ができないことくらいで,トラックの移動をするときが少し面倒なくらい.

トラックのグループは自動判定で,トラックの始点が同じもの同士を勝手にグループとみなして一緒に移動してくれるので,それが面倒なんです.

Webカメラからaviでの録画はやっぱりWindowsの方が使えるのだが(DirectShowフィルターが使えると楽だ……),その先は全部Linuxでやってしまった方が楽.

仮にDVカメラだとするなら,Cinelerraで吸い出せるし,DV変換も編集もx264圧縮も,Linuxでやった方が楽になる.

というのが,全部フリーソフトで実現しようと試みた結果ですね.

動画編集をして,ようやっと600GBのHDDを有効活用している気がする.

普通にPC使っている限りでは,あまりHDDの容量をとるようなファイルを扱わないので.

無圧縮aviやDV形式の動画で録画したり,一時ファイルとして保存したりするときに,600Gくらい無尽蔵に使えると気を遣わなくて楽ですね.