「魔法少女になってはいけない」作品,魔法少女まどか☆マギカ

みなさんさようなら.

毎年紅白歌合戦にはまったく興味がなくて,おそらく割と声優好きだと思うけど,いまだに水樹奈々を見るために紅白を見たりはしていません.
だけど,今年は!紅白のオープニングテーマを菅野よう子が作るということで!おそらく録画します.

http://natalie.mu/music/news/61896


ちなみに多分冒頭だけ録画して,歌合戦自体は見ないんだけど.


さて,
ちょっとこの前のまとめサイトの話をしようと思ったんだけど,みんな多分アニメの話とかの方が好きでしょ(笑).

というわけで今日はこれの話をします.
意外と身近にある みんなのメディア芸術 Vol.4『魔法少女まどか☆マギカ新房昭之(監督)×宇野常寛(批評家)対談
http://www.cinra.net/column/mediaartsfes2011-madomagi.php?page=1


最近,宇野常寛とか東浩紀とか,そういう人たちをフォローするようになってしまって,こういう対談みたいなものを結構見るようになった気がする.

文化庁メディア芸術祭のアニメーション部門で受賞する作品というのは,冒頭で宇野さんが言っているように,市場とは異なるロジックで優れた作品を抽出する役割を担っていた,とある.
確かにそういう印象は強い.
実はこの部門,結構古くて1997年から存在する.
そして,映画が大賞を取るような印象もあるのだが,あまりこの例に入らない作品も選ばれている.
たとえば,深夜アニメから選ばれるのは初ではなく,去年は四畳半神話大系が大賞に選ばれていた.
また,2000年の芸術祭では,BLOOD THE LAST VAMPIREが選ばれている.
そう考えると,個人制作ではもちろんないし,ファミリー向けの大作,というイメージでもない.
市場とも少し違うが,まっとうにマニアックな作品も選ばれる前例があることを考えると,今回の受賞はそんなに変な感じもしない.

いや,むしろ今回に限って言うなら,俺の志向にだいぶ近い選定基準を感じる.

それは,贈賞理由にオリジナルものであることがあげられるところからも言える.

アニメ,とくに深夜帯に放送する1クールないしは2クールくらいの長さのアニメであれば,面白いものはオリジナルに多い.

 


宇野:アニメファンがこれほどレベルの高い作品にハマるのはよく分かりますが、『魔法少女まどか☆マギカ』のブームは普段アニメを観ない人にもブームが拡散していった。それはひとつの特徴ですね。

 

ここからの流れで宇野さんは映画との距離感を例に挙げている.
おそらくこの対談の中で一番の目玉であろうこと,実写映画との距離感を考えながらアニメを作るのではなく,映画ではない他ジャンルの絵との距離感を考えながらアニメを作っている,というところ.
それはイヌカレーの絵でもあるし,キャラクターデザインの蒼樹うめの絵でもある.
でもそれ自体はある意味,The Soul Takerから引き継いできた新房昭之という監督の演出の技だと思う.この作品固有の話ではなくて,イヌカレーにしても絶望先生ではかなり登場している.

むしろ,アニメを見ない人にもブームをもたらしているっていうものの要因は,おそらく魔法少女に対するこのアニメの描き方が,普通じゃないというところだ.
多分このブログにも書いたけど,エヴァと同様の構造をしたアニメだった,と言ったはず.


その核心をついているのが,「魔法少女になってはいけない」というところ.
このアニメは魔法少女になることでハッピーエンドを迎えるという状態には,おそらくどこまでいってもならない.

基本的魔法少女アニメというのは,元気な女の子を主人公にして,魔法少女,もしくは魔女になることに疑問を感じさせる作品ではない.
そういうものばかりを俺たちは何十年も見せられているから,たまに魔法少女に疑問を投げかけるものを見つけると,ものすごく目立って見える.

まどかの件もそうだが,おジャ魔女どれみドッカーンの第40話あたりを知っている人は理解していただけることだろう.
ああいう作品は,その部分だけで,まず普段アニメを見る人たちを釘付けにする.


理屈っぽく考える,というのもちょっと悪い気がするのだが,ロボットに対して,ガンダムエヴァというのはかなり昔からその理屈っぽさを追求してきたように思う.

同じく,魔法少女っていうものに対して,これはあまり少女的な考え方ではないけど,理屈っぽさを求めているからこそ,あそこまでの設定を作りこんだように思う.
はっきり言って,あの世界の設定の濃さというのは13話構成のアニメのそれではない.
間違いなく,ものすごく多くの設定を捨てて,あの密度にしている.

これは脚本を書いている虚淵に対して思うことなのかもしれないけど,Fate/Zeroに関しても,あの魔術という世界観,設定を相当なレベルで作りこんでいる.
だからこそ面白いし,あの人の書く脚本が,次回を期待させるのにちょうどいい量の物語の進行具合を出しつつ,あれだけの設定を視聴者に理解させている.

 

 


最後に,この対談に関して.
全体的に宇野さんが文化的な話をしようとしているのに対して,新房監督はありのまま,作るのが大変だったと言っている印象が残る.
それと,作品のコンセプトや描き方とは全く別に,キュウべえというキャラは作者の手の届かないところで流行りだして,変化していった.